物づくりとの出逢い


▷無いから作るしかない、という生活との出逢い

 

旅行に行ってすっかり惚れ込み、気がついたら10年近く住みついてしまったニュージーランド。今でこそ日本の食材はちょっと高くても手に入るようになりましたが、私が行った最初の頃は法外と思えるほどの高値でちょっとだけ日本の食材を置いているお店のみ。

 

食べたい、でも売ってない、自分で作るしかない!

 

日本で生活をしていたら作ろうなんて思いもしなかったもの、やってみると案外色々代用がきく事を学びました。海外で暮らさなければ生まれなかったであろうこの感覚。日本のレシピを見ても全ての材料は揃わないから毎日が創作料理!

 

無いのは食だけではありません。間借り生活が長かった私はいつでも荷物をまとめて動けるように、荷物はできるだけ少なく、大きな家具はできるだけ買わずにあるもので代用を。段ボール箱に布を掛けるだけで立派な棚になるんですよね。自分で工夫して満足できればそれで良いんだな、と。

 

一事が万事この生活。一時帰国する度に日本は便利でいいなぁ、と思いつつ、だんだんこの不便さを楽しむ生活が楽しくなっていきました。

 

 

▷真珠、職人の世界との出逢い

 

私が本格的に物づくりの世界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、"真珠"でした。

 

たまたま派遣会社に通訳と事務の短期のお仕事、と紹介されていったのが、真珠の養殖場のマネージメントから小売業まで営むという会社。

 

真珠なんてまーったく興味が無く、これ1珠で数百万円!と言われても私にはパチンコ玉にしかみえなかったほど。笑)

 

しかしそれまでプロの職人さんが物づくりをする姿を目の当たりにしたことは無く、一つの作品を作り上げるまでのこだわりと技術を間近で見ているうちに、それまで物へのこだわりがあまり無かった私の視点が大きく変わっていきました。

 

こちらの会社へ出入りする方々も物づくりには大変こだわりを持つプロフェッショナルな人達が多く、物づくりへのこだわりについて語る皆さんのキラリとした目がとても印象的でした。これが職人の世界なのね~、と私の知らなかった世界をのぞいてしまったのです。

 

そして更に私の興味をそそったのが事務所にあった様々な道具達!

これまで見たこともなかった"プロっぽい道具"がずらり並ぶ会社へ通うのは、まるで毎日社会科見学にでも行っているようでした。

 

知らず知らずのうちにその道具を使って自分でも何か作ってみたくなり、気がついたら機械を使って真珠に穴を開け、自分でデザインしたアクセサリーを作り始めていたのです。

 

まさかこの私がねぇ。。。

 

 

▷ミシンとの出逢い

 

ロサンゼルスに住み始めて半年経った頃。正直最初は本当に暇つぶし。地元のコミュニティスクールで無料でミシンを習えるコースがあると聞き、平日は毎日通っていました。

 

ミシンなんて触るの何年ぶりだろう、なんて学校へ行ってみたら、今まで見たこともなかった工業用ミシンがずらりと並んでいたのです!

 

私はミシンで何かを縫う、というよりも今まで触れたこともなかった機械に触れられる!という方に興味を持ち始めました。私はどうも道具に惹かれてしまうようです。

 

幸か不幸か先生はそりゃあもう厳しい方で、大人になってこんなダメだしされたの初めて!しかも無料のクラスだよ!というぐらい、ちょっとでもミシン目が曲がっていたり、仕上げが雑だったりするとゴミ箱に投げ入れられるほどでした。何度悔し涙を流した事か。。。

 

今でも覚えているのは、

 

「雑な仕上げは癖になるわよ!」

 

と先生に言われたこと。確かに一度まぁこの程度で、と仕上げるとその縫い方はその程度が癖になっちゃうんですよね。そしてその部分は使っているうちにやっぱり解けてくる。

 

はい、先生は正しかったです。口は悪かったけどね。笑)

 

ミシンとの出逢いはその後の私の生活を大きく変えました。自分の頭の中で想像した物を形にしていく面白さを知ってしまったようです。ブランド物にお金を使うよりも気に入った生地にお金を掛けたい!と通ったロサンゼルスのダウンタウンにある問屋街、かなり詳しくなりました。